三月 秀嵐の日記っぽいもの

気が向いた時に、気のむくままに書きまくる乱文集。 あくまで日記っぽいもの。

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「なんだ、さっきのつんざく様な弩弓は・・・」
 不意の声に導かれ、雅はこの"ハズレ男"が来た方とは反対に矢尻を伸ばし
「しゃありい」
 と呼んだ頃には、シャーリーは交代するようにマックスの頭に銃口を向けていた。
「なんて手厚い拷問プレイ体制なんだ、でもお高いんでしょう?」
 マックスはごちる
 乙女が訓を示した結果を雄々しく『弩弓』と呼んだ主はすぐ現れた。ちぢれた珍しい空色の髪と、こちらもある意味珍しい鉄のメイル。見た目は騎士か傭兵だ。矢を向けられていることに気づいたようで
「おっ、おい待て待て。こういう時だから分からんでもないが」
 と両手を白旗をしながら少し後ずさった
「『こういう時』、とは?」
 雅は弓をしならせる。
「あんたらと大体一緒だよ、そういうのやめよう、な?」
 と騎士は宥めすかそうとする。それにマックスも同調し
「麗しのアマゾネスたち、そのおっさんの言う通り!アスフィーネちゃんと旦那は俺を家族のように暖かく迎え入れてくれたー!マジ天使ー!!」
「そうだ、マックスくんも争いを望んでいない。こういう時こそ手を取り合って・・・」
 弩弓が飛んだ。マックスの時と同じよう、騎士の表皮を舐めながら。
「アマゾネス一号!またかー!」
 マックスが悲痛な叫びを挙げる。しかし、もしくはそれより鎮痛な顔で
「こやつの名前を知っていたな、"同じ境遇"」
「んー、俺が何か言ったかなー?」
 厭らしい薄い笑みを浮かべる。その内に二本目の矢が用意される。
「勇ましいものだねえ、勇気と蛮勇は紙一重だねえ」
 説くように、笑うように語りそして
「"雅くん"・・・だったかなぁ?」
 二本目の矢ははやにえを作るように飛び出した
 しかしその矢は、なんと素手で掴まれた。驚愕の色を見せる雅。
「知ってる知ってる、あんたらの名前、武器。そして弓が発射されたらコンマ何秒で対処すれば良いか、銃弾を鎧で弾く角度。だって俺は・・・」
 乾いた唇を舐めた。
「サム、《賢いサム》(サムワイズ)だからな、クヒヒ・・・ッ」
 下衆な笑いを押しつぶすように衝撃が落ちる。それはピラムの改造ボディから出された降下キックだった。床から舞い上がる煙から無事なサムが姿を見せるも
「俺は知ってるだけで、強くはねえ。さて、俺も仲間を呼ぶか、知的に逃げるか、ヒヒ・・・ッ」
 言うも余裕な態度は崩さなかった
「今のタイミング、確実に捉えたはずだったが」
「おお、怖い怖い。やっぱり逃げるかな」
 相も変わらず余裕な表情のサムを、ピラムが強い視線で睨む。
「お前たち、少し下がってろ」
 右の拳を強く握るピラム。すると、ゴゴゴゴという異様な駆動音と共に肘を突き破り刃のようなものが現れる。
 今やピラムの肘から下は巨大な鈍器と化していた。
「だ、旦那……それは?」
「いくぞ、サムとやら」
 ズン、と足に力を溜め強く地面を蹴った。勢いを殺さぬまま、一直線にサムへと拳を叩きつける。つもりだった。
「いやいや、申し訳ないねぇ」
 突如行く手を阻むが如く現れたのは、機械人形。
「なっ!?」
 不意の出現に驚いたピラムは一度勢いを殺し、立ち止まる。
「悪いねえ。賢い俺は『両方』を選択させてもらうぜ。俺の目的はここにいないみたいだしな、クヒヒ……ッ」
 周囲を見渡すと、機械人形や獣が十数体。
「……いつからそこにいた?」
「さぁ?」
 サムは嘲笑を残して、去っていく。
 ピラムの背後。
「義太夫、追えるか?」
 鷹は首を横に振る。
「正直な奴じゃな……さて男女よ」
 雅は弓を再度構える。
「一人四体ということで構わぬか?」
「うむ」
「タケちゃん、頼むよ」
「しゃありい、できるか?」
「やってみるわ」
「よし、俺もやってやるぞ!」
「ぬ? そちはそこで震えておれ」
「この人形どもを壊せばいいんだろう」
 ピラムはグローブを締め直しながら言う。
「回りくどいのよりも、その方が分かりやすくて良い」
 サムの扇情的な話術にストレスを溜め込んでいたピラム。人差し指から左側へ順に指を折っていき、最後に親指で包み込む。力を込める『拳』の作り方。
「来い。叩き壊す」
 機械人形の群れの一体が、巨大な腕を振りかざす。
「旦那! 危ない!」
 マックスの声が響くが、ピラムはそれを左腕をかざして受け止める。
「――ッ!」
 その重量と衝撃で、ピラムのブーツが少し地面に沈む。
「う、受け止めた…!?」
「むんッ!!」
 反撃。温存していた右の拳を機械人形の腹に撃ち込む。
「!?!?!?」
 痙攣する機械人形。ピラムは拳で貫いた内部から、纏わりつく配線類を引きずり出しながら右腕を抜き、
「相手が人間で無いのなら遠慮はせん」
 トンッ、と一飛びして機械人形の脳天に稲妻のような踵落しを叩き込み、頭部を潰した。地に這い蹲った機械人形の残骸を踏みつけ、
「まずは一体」
「わーピラムさん、すごい」
 と手を叩きながら、のんびりと褒めるアスフィーネ。好きがあると判断したのだろうか。アスフィーネの後ろから、レーザーブレードを掲げた機械人形が襲い掛かる。
「アスフィーネちゃん、あぶねぇ」
 マックスの声がアスフィーネを助けようと走る。
 だが、それも杞憂に終わる。アスフィーネが振り向くと同時に、機械人形は右腰から左肩にかけて切り裂かれる。さらにアスフィーネに蹴り飛ばされ、離れた場所で爆発する。蹴った勢いでピラムの後ろに行く。
「ノルマは1人4体だって、ピラムさん」
 ピラムと後ろを守るかのように近づき声をかける。
「どっちが早いか競争する?」
「下らん。倒せられればいいだろう」
「それもそうね」
 弱いからそれくらいしないとつまらないんだけどなあ、と心の中で続けながら、アスフィーネは金色に輝く刃を持つ刀を構える。
 さて、使える武器は日本刀と小太刀とナイフと槍、どう戦ったものかしら、とアスフィーネは高揚する感情を抑えつつ、次の一手の選択にかかる。なお、アスフィーネを助けようとしたマックスはというと、
「ええい、そちは邪魔だから震えておけ、と言ったであろう」
 雅に蹴られた挙句、踏まれていた。
「いて!いててて!おいおい、勘弁してくれよ(いやしかし、これはこれで…良いっ!)」
(な、何故この男は踏まれておるのに笑顔なのじゃ!?)
「む…危ねえ!後ろだ!」
「…!」
 次の瞬間には機械人形には雅の弓が貫かれていた。
「ふぅ、間一髪だったな。」
「お、お主に言われんでも敵の気配ぐらい気づいておったわ!」
「おお!雅さんはツンデレですね!?分かります!」
「ええい!はよ隅で震えておれ!それともまた蹴られたいのかえ!?」
「うーん、それも…あ、いや。何でもないです。」
「…」
「こいつら、緊張感がまるで無いのか」
 マックスや雅らの姿を見て、溜め息を吐くピラム。
「ならば、気を回す必要は無い、か」
「…!」
 機械人形のパンチをひらり、と避わし、
「ぬうぅッ!」
 下腕部を締め上げ、捩じ切る。
「シッ!」
 腕を投げ棄て、右腹部への胴回し蹴り。
「!!」
 人形の胴体は真っ二つ。
「わっ! わっ! わぁ~っ!」
 機械人形の攻撃を紙一重で避わすマックス。必死さ故に、裏声になってしまっている。
「だ、旦那ァ~! た~すけて~!!」
「1人ノルマは4体らしいぞ」
「俺のノルマ、旦那に分けたげますよ! 冒険は助け合いでしょ!」
「物は言い様だな」
 そう言うと、ピラムは撃破した
 人形の残骸を怪力で丸めて、マックスを襲う機械人形へと投げつけた。
「!?!?」
 壁にめり込む機械人形。
「でぃやッ!」
 体勢を整える間も与えず、ピラムは機械人形の心臓部に飛び蹴りを撃ち込む。
「ぴらむ、とか申したか。何と荒々しい戦い方をする男か」
 雅は目を丸くする。
「壊すしか能が無くてな」
「ふむ、わしもやるかのう」
 四体なら、四回弓を引けばそれで済む。先の一回は、あの役立たずにくれてやろう。
「義太夫、そちはしゃありいの助太刀をしてやれ。ぬかるなよ」
 こくり、と鷹は頷く。
「さて、ゆくぞ」
 己の身長にも匹敵するほどの大弓を構えると、壁際を走る大型の獣に狙いを定めた。
「……」
 ひょう、と放った矢は獣の頭を正確に射抜いた。続く標的はその隣でシャーリーに腕を振り上げる機械人形。もっとも甲冑の厚いであろう胴体を射抜くのは無駄と判断し、首の継ぎ目を狙う。
「しゃありい、横からすまぬな」
 数秒後、機械人形は膝から崩れ落ちた。
「天狗共の方がまだ手応えあるのう」
 義太夫は縦も横も狭い通路内で飛びづらそうにしながらも、右に左に飛んで獣をシャーリーの持つ拳銃の射程圏内に誘導していた。それを正確に撃ち抜く、シャーリー。
「あとで褒美をやらねばな」
 四本目の矢を放つと、雅は満足そうに呟き白い鉢巻を締め直した。
「脆い。i.oの改造戦士とは比べるべくも無いか」
 ピラムは左足を前方に、右足を後方に踏み締め。丹田に気を集中するように腰を落とし、最後の一体に狙いを定める。
「そう。この力は、奴らを一体残らず叩き潰すためにある。こんな所にいつまでも留まっていられん」
 この体を人非ざるものへと変えた。
 憎むべきはi.o。倒すべきはi.o。この悪魔の力を授けたのがi.oであるならば。この力を以って奴らを滅亡させてやる。仲間を、この体を、人間としての自由、尊厳。ピラムの全てを奪った者達を壊してやる、奪ってやる。何もかもを。
「はあああああああああああ…!」
 ピラムの髪がゆらりと逆立つ。
 首に巻く赤いマフラーも。ピラムを取り巻くものが震えている。彼の拳に収束、凝縮していくエネルギー。
「これで終わりだ」
 右足で蹴った地面が抉れる。左腕を突き出し、腰を捻りつつ振り被る右の拳。
「ピラムさんに美味しい所、独り占めさせないよ?」
「む?」
 ピラムの隣に並ぶのはアスフィーネの笑顔。
 笑みを浮かべながらも、アスフィーネはこの戦闘に飽きを覚えていた。つまるところ、相手が弱い。弱い相手を倒して得る優越感はアスフィーネにはない故に。ノルマの4体を終えたにもかかわらず、暗がりから次々に現れる機械人形を、いい加減、蹴散らしたいところであった。
 ピラムの拳が唸りを上げて前に突き出される。それに合わせるかのように、アスフィーネは「神の雷」と一言。瞬間、寸分違わず、あたりの機械人形と獣に雷が降り注ぐ。同時にピラムの拳から繰り出された衝撃は、空気を伝って、前方の機械人形を吹き散らす。
「これで終わりかな。いやあ、ピラムさんすごいねぇ」
 再び笑顔でピラムに話しかける。
「今の雷はお前か?」
「うん、そうだよ」
「お前は……」
 とピラムが何か言いかけたところで、
「いやあ、旦那もアスフィーネちゃんも凄かったよ」
「そちは全くもって役立たずじゃったがな」
「それは言わんで下さい、姉御」
「誰が姉御じゃ。っと、そちもご苦労じゃったな。義太夫」
 雅が声をかけると、シャーリーを伴って義太夫が現れる。
「この子のおかげで、だいぶ助かったわ。あと、こっちの方にも敵はいなさそうね」
「ふむ。ならば、ひとまず安心じゃな」
 ――同時刻。先の二つのグループとはまた離れたところ。うす暗い通路に、松明の火が一つ。もちろん火の辺りだけ異様に明るいのだが、だがそれはどこか不気味な様子でもある。
「お前の目でも闇の中では役に立たぬか」
 舞姫雅は呟いた。その言葉に呼応するように辺りを旋回する、一羽の鷹。
「人らしい気配は感ずるし、何者かが通ったような形跡もあるのだが」
 雅は火を近づけながら壁や床を確認する。もし自分なら、この辺りに罠でも仕掛けたくなるのだが、そのような類のものは今のところ見当たらない。
「しかしここは奇妙なところだ。西の国には物珍しいものもあると聞いたことはあるが」
 鷹がわずかに羽を動かした。わかっているというように雅は頷いた。
「まあ、よかろう」
 そう呟く様子はどこか楽しげだった。まるで歩き慣れた道であるかのように、自然に歩を進める。警戒する様子はまったくない。
 ——カチャ。
 撃鉄を起こす音。
「……動くな」
雅の後頭部にリボルバーの銃口が突きつけられていた。
「ほう。それは短筒かの? 初めて見る」
 動じることなく、雅は振り返った。雅が初めて見る西欧風のドレスを身に纏った少女。しげしげと少女の顔を見て。
「ふむ。いい顔つきじゃ」
「動くなと言ってるのが聞こえないのかしら、レディ?」
「れでぃー?」
 首を傾げる雅。
「おばさんってことよ」
「……おば!?」
 瞬間、鷹がびくっと震えた。
「それともおばあさん? 耳が遠くてもしょうがないわね」
「…………」
「さあ、答えなさい、あなたは誰で、ここはどこ――」
「ふ、ふふふふ……」
「な、なによ……」
 突然笑い出した雅から後ずさる。
「のう、義太夫。行儀を知らない小娘にはお仕置きが必要だと思わないか、思うよなあ?」
 義太夫と呼びかけられた鷹は必死に首を縦に振る。ただならぬ様子に、ようやく少女——シャーロットは気づく。自分が開いてはいけない箱を開いてしまったことを。
 振り向かせていた首を完全に元に戻し、雅は空を掴んだ。すると突如、ロンドンスモッグのような濃い霧が周囲に立ち込める。
(な、何某かのシャーマンなの!?)
 驚きと戸惑いと共に、シャーロットは拳銃に力を入れる。
「やめなさい、本当にハンマーが落ちるわ」
 その警告にも雅はフフと浅く笑うのみ
「そち、朝の膳は?」
 意図の分からない問だった、だが問われたということは、話し合いの余地があるのか?恐る恐る
「朝は体調が優れなかったからティー、ランチにカフェテラスで」
「渡来語ばかりで気取りおって、西の者」
「・・・お茶と卵、干し肉と、糖のない菓子・・・」
 自分で訊いた割には、ふ~んと歯ごたえのない唸りを入れた。このシャーマン、分からないことが多すぎる、メンタル・スキル・カルチャーetcetc・・・力を入れていたはずの銃口が微震する。これはまずい、引鉄を引いても意味がないメンタル領域は近い。指にも力を入れよう、とした時
「出ませり!」
 その声と共に雅は「ポン」と両の手を打ち、鷹がファンファーレを挙げ、同じく霧が晴れていく。そして振り返りながら
「そち、わしをれでえと言ったな、渡来語で言ったな?だがな・・・そちの体内年齢もう三十路だからなーーーーー!!!!!」
 ・・・どう算出したが分からないが、あの質問ってそういう
「やはり渡来物はいかん、食べ物もいかん」
 鷹が頷く。
「その点わしは精進の流れを汲む神楽女料理を嗜み、すべての源である食から神楽女としての力、身体、肌をハタチにするよう努力しておるのだ」
 鷹と共に雅も満足気にうんうん、と顎を傾ける。
 シャーロットはあっけらかんと演説を聞いてしまったが、やがて引鉄に力ない薬指だけ預け銃を下ろした。
「先の無礼は謝ります。どうかお許しを、えーと、か、が、カーガメ?」
「か・ぐ・ら・め」
 ――そういえば聞いた、東の妖怪というものは、ひょうげで人を殺すが、したてに出れば富をもたらす・・・と
 シャーロットが、どうしたものか、と黙考する。その時、場の雰囲気にそぐわない脳天気な声が遠くから響く。
「あれ、ここはさっき俺が通ったところだな」
「え、本当」
「おう、本当だ。ここに印を刻んでおいたからな!」
 見ると壁にナイフで彫ったであろう、十字が刻まれていた。
「ということは、ピラムさんが壁をぶち壊したのは全くの無駄だったって事?」
「む」
 黙って歩いていたピラムが反応する。
「でも、おかしいんだよな。俺が描いた地図だと、どう考えても繋がるはずがねーんだ」
「どういうことだ」
「もしかしたら、俺が知らないからくりがあるのかもしれないって事」
「からくりねぇ」
 もしかして、魔術かな、とアスフィーネは疑うが、魔術を知らぬ2人にどうやって説明したものやら、と口元に手を当てて考え込む。
「誰だ!」
 ピラムが突然前に出て構えた。
 同じ時、
「何者だ!」
「何奴じゃ!」
 と2種類の声が前から跳んでくる。アスフィーネは光源としていた、魔術で出した光の珠を前に出し、声の下ほうを照らす。そこにいたのは2人の女性。眩しそうに目を細めながらも、片や弓を構え、片や銃を向ける。
「わわわ、私達怪しいものじゃないよ」
「そそそ、そうです。怪しく見えるけど、怪しいものじゃねーんだ」
「ほら、ピラムさんも殺気立てないで。落ち着いて」
「そうだぜ、旦那。相手は綺麗な女の人じゃないか。落ち着こうぜ。なんてったって、美人だしな!」
「だが、女性の方が存外に恐ろしいものだ」
「おいおい、旦那、そんなんじゃモテねーぜ。ここは平和的に行こうぜ。な! あんたらもそれでいいよな?」
 そう言って、マックスは前方の女性、雅とシャーロットに声をかける。
「そいうえば、まだ名を名乗っていなかったな」
 雅はシャーリーの耳元で囁く。
「わしは雅。舞姫雅。そちは?」
「シャーロット・フェイ、シャーリーでいいわ」
「ふむ、しゃありいか。よし、そちの考えを聞こうかの」
「あっちの筋肉はともかく、うるさい男の方は信用出来ないわ」
 シャーリーは即答した。
「ふむ、及第点じゃな」
 教師が生徒を褒めるような口ぶり。
「ロンドンでも見たことあるわ。ああやって淑女に近づいて金を巻き上げる詐欺師」
「うむ、ただああいう奴に限って事情通だったりするからのう。わしもそちも情報が足りなすぎる。少し痛めつければ口を滑らすだろう」
 散々な扱いである。
「そういうわけだ、そこのやかましい男。貴様の処分が決まったぞよ」
「処分……?」
 その言葉の響きに一歩、後退りするマックス。
「とりあえずそのの男女、こやつを少々借りるが良いな?」
 一瞬首をかしげ顔を見合わせる二人だったが、どうぞという仕草であっさりOKサインを出す。
「ひでえや旦那」
「よし、しゃありい。そこのうるさい男を壁の前に立たせろ」
 雅はちらりとアスフィーネの方を見ると、すぐ視線を戻す。
「貴様、名前は?」
「ま、マックスだ」
「よし、ままっくすとやら、貴様、三本の矢の訓とやらを知っておるか?」
 雅は矢をつがえると、ぎりぎりと弓を引く。
「教えてやろう。一本二本では口を割らぬ間者も、三本目の矢が顔をかすめるとだいたい全てを話すという神楽女の訓示でな。そういうわけで一本目じゃ、動くなよ」
 だあんと放たれた矢はマックスの首の皮を掠めながら壁へと刺さる。
「この遺跡はなんじゃ? 言え」
 四人の眼前で、堂々の拷問。
「し、知らねえ、俺はほんとに何も知らねえ……」
「ふむ、そうか」
 二発目の矢は顔のすぐ右。
「ふむ? 少し矢の精度が落ちたかのう」
「ほんとに知らねえんだよ! 俺もいまここに来たばかりなんだよ!」
 必死に叫ぶ、マックス。
「旦那、助けて下さいよぉ!」
 ピラムは押し黙ったまま。
「ひでえや旦那」
「ふむ、そこの男女からも信頼されてないようじゃな。さて、しゃありい、どう見る?」
「危なかった……」
「ん?」
「いえ、なんでもないわ」
 ふう、とシャーリーは息をつく。
「こ、この男、嘘を言ってるようには見えないわ」
「ふむ、やっぱり使えん男じゃのう」
 やはり散々な扱いである。
 ――水鏡高校、スーパーロボット研究部部室。
「阿月君、ルアに君の発案した武装の取り付けが完了したぞ」
 所々汗の滲んだ白衣でそう言うのはスパロボ部部長、朱音明日香。
「本当ですか隊長ォ!」
 室内だというのに赤いマフラーをたなびかせ、スパロボ部副部長の阿月千潮が暑苦しく答える。
「隊長はやめろと言っているだろう、博士か部長と呼んでくれ。……まあいい、今はルアの起動が最優先だ」
 明日香の視線の先には横たわるメイド服の女性――ではなく、メイドの姿をしたアンドロイド。
「阿月君!ルアを起動させる役目は君に任せよう!」
「了解です部隊長!」
 勢いよくスイッチが押される。
 電流が走り、バチバチと火花が散る。激しい光が部室内を一瞬白く染め上げた。あまりの眩しさに目を瞑る。
「部長、大丈夫ですか!?」
 阿月が目を開き部室内を見渡したが、そこに明日香とルアの姿はなかった。
「ぶ、部長……?」
「うぉわぁぁぁぁぁぁ!?」
 部室が光に包まれた瞬間、明日香の体が強い衝撃に襲われた。何も見えず上も下もない、ただ空間が振動しているのが分かる。
「ぁ痛っ!」
 突然重力の元に投げ出され、尻餅を打つ。視界が開け、等間隔で柱の立っただだっ広い空間が彼女の目の前に広がった。
「なんだ、ここは?」
「あ、阿月君?いるのか?それにルアは……ううっ、さっきので酔った…… !」
 コツン、コツン、と足音が響く。我に返った明日香はこほん、と咳払いをして長い黒髪をかき上げ、まだ姿の見えない足音の主に声をかけた。
「君は誰だ?その落ち付いた足音、少なくとも阿月君ではなさそうだが」
 現れたのは空。薄暗い空間と纏う草色のマントよりも冴える不思議な光彩をした空色髪の少年。そして錫杖にスズの代わりにトゲを取り付けたような杖。
「お初にお目にかかります。察するに、年若くも権威ある学者様と存じても宜しいでしょうか」
 そう語る少年は――魔法使いに見えた
「権威はないが、多少の権限はある」
 部長権限を振りかざしてしまったのは、学者と呼ばれ悪い気がしなかったからだった。
「然り。僕の名前は・・・猫髭卿」
 どうやら異常事体なのは確定のようだ。
「本名は別にあるのですが、冗長となりますので・・・」
 と付け加えた
「私は朱音明日香、何が目的だ」
 そう問うと猫髭卿と名乗る少年はフゥと口を緩めた。
「異界で魔法使いが学者に頼むなど、一つでありましょう、朱音博士」
 すまない阿月君、『悪の』とは言えスーパーロボットを先に作ってしまいそうだ・・・抜けがけで
 草色マントの留め金を外し広げると、下からまた草色の軍服にも見えるインナーが顔を見せた。そして
「僕を元の世界に戻してくださーい!お願いしまーす朱音博士ー!お礼は代引着払いしますからー!」
 異界で、魔法使いが、高校生に、ジャパニーズ、ドゲザ
「えっ、えっ?」
 明日香は色々思い違いがあったようで面食らった。それにお構いなく
「いやー、この杖でここに人やらなんやらがーね、何人かいるのは分かったんですけどーね、三人集まってるとこ行くのもあれだしーね、魔物だったらとか思いましたけど、権限ある博士様に真っ先に会えるとは、ね!」
「いや、まあ何と言うか、猫髭君」
 魔法使い、という文字通り魔法の言葉に心をくすぐられていたが、明日香はそれは表に出さずクールに言葉を濁した。
「私も今ここに来たばかりで右も左もわからんから即答するわけにはいかんのだよ」
「ええー」
 対する猫髭と名乗った少年は、明らかに落胆の色。
「あ、でも」
 明日香は思案する。自分がこんな場所に飛ばされることになったキッカケってなんだっけ、と今一度脳内で反芻する。
「ルアがいればあるいは……」
「ルア?」
「私が改造したロボット」
「ロボット?」
「猫髭君、ルア探しに協力してくれないかね? それに私も実際の魔法とか見てみたいし!」
 学者らしい探究心・好奇心が明日香を揺さぶる。本心を言うと、目の前にいる猫髭卿と名乗るこの少年からあれこれ訊きたいところなのだが、それはおいおい。
「そりゃー、探すのは得意な方ですけど、しかし、はて。ロボットですとな」
「うむ、正確に言えば、メイドアンドロイドなのだが」
「はあ」
「ところで、ロボットってなんです?」
 明日香の脳に電流が走った(イメージ)。
「なんだと……?」
 冷静に考えれば異世界(ファンタジー風)の住人である猫髭が「ロボット」という存在を知らなくても無理はないどころか、むしろ当然だが、潜在的ロボットマニアの彼女にとって信じ難いことだった。
「……ロボットを知らないとな?」
 そう呟く明日香に、ただならぬ気配を感じた猫髭は思わず後ずさった。
「す、すいませ——」
「そうかそうか、ロボットを知らないか。それでは君には一からロボットについてじっくりと講義する必要があるようだな。……ふふふふ」
 明日香は得意げに口を開く。
「いいか猫髭君、ロボットというのは――」
 その時、ガチャンと何かが地面にぶつかる音。訝しげに振り返った先には、既に破壊され機能停止した、鋼鉄のボディを持つ人型の戦闘機械、その残骸があった。
「……あー、ロボットとは」
「ロボットとは?」
「こういうのだ」
「?」
 小首を傾げる猫髭卿、しかし明日香にも何が何やらさっぱりである。そうしているうちにもひとつまたひとつとロボットの残骸は降り積もり、いつの間にかスクラップの山と化していた。見上げれば虚空に空間の歪み。それは鉄屑を吐き出しながら膨張し、そして一瞬で収束した。宙に浮かぶ一人の男を残して。
「ヴォイジャーⅢ!貴様の野望、今日こそ私が――む?」
 勇ましい叫びを上げながら出現したのは、明日香の価値観で言えば、コミック本から抜け出してきたような男だった。屈強な肉体、全身に密着したスーツ、全身にブースターを生やし空中に浮かんでいる。男は異変に気付き訝しげに周囲を見渡していた。やがて男は手に持った戦闘ロボの破片を投げ捨てると噴射口を体内に格納して、明日香達と同じ床に降り立ち、茫然自失の明日香達に礼儀正しく語りかけた。
「私の名はオデッセイ。君達は……何処の惑星か知らないが、ここの住人かい? ヴォイジャーⅢの機械兵団はどうなった?」
 二人は無言で首を振った。
「そうか……わざわざすまなかった」
「あのー、もしかしてお兄さんもいつの間にかここに迷い込んでしまわれたんです?」
 その言葉に、オデッセイは少し驚いたらしい。
「まさか君達も?」
「あ、申し遅れました。僕の名前は猫髭卿。魔法とか使える。で、こちらはさっき会ったばかりの、権限のある学者様」
「私は朱音明日香、マッチョのヒーロー君、さっそくなんだけど頼みがあるんだが」
「頼み、とは?」
 明日香は懐からスパナを取り出すと、ニヤリと口角を上げた。
「早速なんだけど、君の体調べさせてもらってもいいかな? ふふふ、すごく興味があるんだ……」
「……ノーセンキューだ、ミセス朱音」
(ミセス!?私はそんなに老けて見えるのか……?)
 他人の目を気にしない彼女も少しダメージを受けたらしく、ふらふらと歩き出した。
「あれ、朱音博士ー、どこいくんですー?」
「あ、ああ。ちょっとこっちの残骸をいじろうと思ってな……」
 そう言いながら彼女は残骸の山の前にちょこんと座りこんだ。
「見知らぬ地に送り込まれてなお知的好奇心の赴くままに行動する、まさしく学者だな。ところでサー・猫髭。ここは……」
「なんだこれすっごいぞ!魔法ででっかい風呂敷を出してくれ猫髭君!こいつら持って帰ろう!」
「……私の話は後でいいよ、レディファーストだ」
 やれやれとオデッセイが肩を竦めた。
 そんな彼らを、物陰から観察する影がひとつ。彼らが気づかない、ぎりぎりの距離を測っているかのように慎重な足取りで近づいていく。
「……む」
 オデッセイはその気配を感じ、身体を固くした。彼にとって、その気配は感じ慣れたものだった。摩天楼に蔓延るケチなギャングどものそれではない。そんなギラギラとした気配ではなく、もっと澄んだ気配。無邪気な子どものような気配。——《アサイラム》行きを逃れ得ない人間独特のそれ。
「……誰だ?」
 鋭い声を発する。明日香と猫髭はオデッセイの差し迫った声に揃って首を傾げる。暗がりからゆっくりと気配の主が姿を現した。オデッセイは自分の目を疑った。一言でいうなら、彼には縁のなかった、仏蘭西人形のような少女がそこにいた。
「ご、ごめんなさい」
 小さな身体をさらに縮ませて少女が謝罪する。
(今の気配は、この少女なのか……?)
 オデッセイは腑に落ちないものを感じながら、少女に近づく。
「怯えさせて申しわけない、お嬢さん。あなたのお名前を訪ねても?」
「私は——」
「ああ、いや、失礼した。まずは私の名前からだな」
「私の名前はオデッセイという」
「私は、アンジェリカ。アンジェリカ・クラレンスと申します、ミスター・オデッセイ」
 少女——アンジェリカはそういってお辞儀をした。
「アンジェリカ嬢、君はなぜここにいるのかね?」
「申し訳ありません。いつのまにかここにいて、詳しいことはよくわからないのです」
「なるほど、我々と同じような境遇というわけか……」
「あの、私と同じくらいの年頃の女性を見かけませんでしたか? アッシュブロンドの髪をして、シャーロット、シャーリーという女性なんですけども」
「君と同じような女性?」
 オデッセイは二人の方を見るが、共に首を横に振っている。
「そうですか……」
「友人かね?」
「はい」
 アンジェは頷く。
「アンジェリカ嬢、もしよろしければ我々とともに――」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
 そう言い残すと、アンジェは恐ろしい速さで走り去ってしまった。オデッセイは慌てて呼び止めようとしたが、その時には闇となっていた。
「……」
 オデッセイは黙りこむ。先の違和感が抜けない。
「猫髭君、見たかい? あれがヒーローの淑女への対応だよ」
「真っ先に他人の手伝いをしようなんて、なかなかできることじゃないですよねー。逃げられてたけど」
「逃げられてたね」
「ものすごい速さで」
「ヒーローも辛いねえ」
「やめてくれ……」
(私の勘が正しければ……いや、しかし彼女はそういうことをする人間に見えるか? 勘を信じるか、社会一般を信じるか……)
 頭がやや混乱している。
「……ミセス朱音、用事は済んだかな? 訊きたいこともあるし、先の少女のことも気になる。少し歩きながら話はできないだろうか?」
「・・・」
 見渡す限り何もない空間の中に少女はいた。彼女の名前はアスフィーネ・ルクソール。長い黒髪と蒼い双眸が特徴の少女。
「えーと、ここはどこだろう」
 アスフィーネは呟きながら、周りを見渡す。石畳の地面とかろうじて視認できる天井。
「何か前にも似たようなことがあった気がする」
 そう言いながら、アスフィーネはしっかりとした足取りで前に進む。悩んだ時は、とりあえず前に進む。それがアスフィーネの生き方故に。
「ねぇ、タケちゃん。ここはどこかな」
 アスフィーネの胸に輝くペンダント――建御雷――に語りかける。
「不明。悪い情報がひとつ」
「え」
 思わず立ち止まり、
「何かなー」
「転移の影響で不具合が生じている模様。自己診断及び自己修復プログラムを起動。ついては、高出力の兵装の使用は不可能」
「具体的には?」
「こちらを」
 すると、アスフィーネの目の前に文字が投影される。
「大太刀、狙撃砲、・・・うそお、雷神降臨と雷神解放も使えないの。ってことは神式も使えないか」
 切り札とも言える兵装が吐かないことがわかり、どうしたものかな、とアスフィーネは考える。
「ま、考えたって仕方ないか。タケちゃん、しっかり直してね」
 対して、建御雷は無言。
 修復に専念しているのかな、そう考え、アスフィーネは再び歩み出す。前に、前にと。
「あーでも、こういうのって、ピンチの時にギリギリ直って、窮地を脱するのよね。そう思うとワクワクしてくるなー」
『前方。動体反応有り』
 暫し沈黙していた武御雷のナビゲート。
「あ、タケちゃん喋った。動体反応? 私の他にも誰かいるのかな」
『生体反応パターン、微弱。純粋な有機生命体では無い模様』
「…どゆ事?」
 生き物であって生き物でない。曖昧なメッセージを放つ武御雷に首を傾げながらも、
「行ってみよ」
 長く長く続く一本道。
「音がする」
 アスフィーネが前に進む度に、遠方から響く音。時々震動が四方の壁・天井を伝わり、砂埃が散る。それはだんだんと頻度を増し大きくなっていく。
「何だろ?」
歩む通路の先に開けた空間が見える。そこでひとつの黒い人影が激しく動き回っていた。
「誰か、暴れてる…?」
 全身黒いレザースーツ、赤いマフラー、額には重々しい鉄製のヘッドギア。黒い髪の男が、部屋中を所狭しに飛び回り、手当たり次第に破壊していた。壁を殴り、或いは蹴り。石煉瓦で出来ているそれをスナック菓子を噛み砕くようにいとも容易く。
「わわわ、な、何やってんのこの人!?」
「出口は何処だ…」
「出口?」
 アスフィーネは二つの疑問を感じ
「ここってオブジェクトを壊すと出口が出るんですか?」
 と同時に解決しようとしてしまった。それは道に迷ったからなのか、生来進んだものがそういう道だったのか。
「提案」
 建御雷がレザーの男の反応を待たず割り込みように口を挟む
 しかしそちらの方が反応は如実だった。レザーの男は不意の声に、即座に壊すためだけのものでなく探る『構え』を取る。アスフィーネもその動きに対し身構えた一寸。
「・・・ペンダントか?」
「肯定。有機生体、無機物質、プログラムデータに問わず修繕を提供できる。代わりに情報提供を提案」
 レザーの男は反応をヘッドギアに隠したが、やがて
「・・・出口は知らないようだ」
 と『構え』を解いた。
(うーん、男のやり取りだなー。でもタケちゃんそんな万能回復なんて出来たっけ・・・?)
 などとアスフィーネは入り難い空気を微妙に感じたのだった
 レザーの男の名は「ピラム」と言った。いつの間にか、この構造物の中に迷い込み、出口を求め内部を歩き回っていたが、手がかりは掴めず。最終的に壁を破壊しての脱出を試みたが、一向に外に出られる気配は無かった。
(これだけ壁を素手で壊し続けて何とも無いって…)
 彼は普通の人間では無かった。
 謎の組織に誘拐された挙句に肉体を改造された生体兵器。それがピラムと言う男。
「ルクソールとか言ったか。最初に言っておくが、俺と関わり合いになった者はロクな目に遭わん。下手をすれば、死ぬ」
 組織に誘拐される際に側にいた仲間たちはその場で皆殺しにされた。それは今も彼の心の枷となっている。
「ご親切にどうも」
 アスフィーネは苦笑を浮かべた。
「……でも、悪運の良さについては、自信と、それから、ちょっとした実績があるんですよ、こう見えても」
 そう言って、ピラムに微笑みかける。
「それにしても、いきなり壁を壊すなんて危ないですよ。外が海だったりしたら、どうするんですか?」
「問題ない」
「え」
「問題ないと言った」
「そ、そうですか……」
(私は問題あるんだけどなあ)
「で、でもですね、ピラムさん? ここはやっぱり出口を探す方がいいんじゃないかと思うんですよ」
「俺には目的がある。無駄な時間を費やすわけにはいかない」
「目的、ですか。でも、無駄な危険は避けるべきです」
 そうピラムに言いながら、
(どうも嫌な予感がするんだよなあ)
 と胸中で呟く。
 そして嫌の予感ほどよく当たる、というのは古今東西共通事項であって。
「ん?」
 ピラムがある一点だけ、石煉瓦の隙間から空気の抜けたような音がするのに気付いたらしい。
「見ろ、抜けるぞ」
「え、ちょっと」
 ふん、と軽く腕を振るうと壁に巨大な穴が開く。それを二度三度と。
「あのー……」
 拳が5度抉った時、ようやく壁に穴が開いた。
「どうだ」
 ピラムがほんの少しだけ誇らしげに振り向く。
「でも、光が入ってこないってことは……」
「何か通路になってるみたいだ」
 ピラムが蹴りで穴を広げながら言う。
「俺はこの先を行く。お前は好きにしろ」
(ここにいてもしょうがないよね……)
「分かった、私も行くわ」
 2人が穴の向こう側に行こうとしたその時、背後から声が聞こえた。
「おぉ~い!待ってくれ!俺も連れて行ってくれ!」
 そう言いながら駆け足でやってきたのは重そうなリュックを背負った赤髪の青年だった。
「ふぅ…助かった。この遺跡の中に居るのは俺だけかと思ってたぜ」
「…誰?」
「おう、すまねえ。俺はマックス!探検家の卵だ!」
「一体何なんだ、突然出てきて。怪しいな…」
「う…確かに怪しまれるのも仕方ねえか…でも信じてくれ!俺は怪しい者じゃねえんだ!」
「…まあいいでしょう、こんな状況だから仲間は一人でも多い方がいいわ」
1.参加者の皆様にはその登場人物を1名ずつ用意してもらいます。種族も時代も問いません。同時に彼らの行く手を阻む敵(好敵手)役の用意もお願い致します。

2.執筆時のルールとしては、連続投稿は可。他の人のオリキャラを動かすのも問題ありません。

3.オリキャラの設定につきましては、「キャラクター設定」にて取りまとめを致します。私宛にリプなり、DMなりで設定を送って下さい。追記の際も同じようにお願い致します。

4.最後に、作品の本筋をある程度整えるためにゲームマスターを置きます。メインイベントの発生と、それに合わせた敵側の動きと情景の描写をある程度担当してもらいます。異端さんが立候補しておりますが、他にやりたい方がおりましたら、ご連絡ください。一番、世界を動かせます役割ですw

5.何か質問や問題があれば、私( @marchwind17 )宛にリプを送るか、ハッシュタグ「 #ストレン 」をつけてツイートをお願い致します。

 以上。
 ある遺跡の中、別々の時代、別々の世界から集められる異邦人。彼ら彼女らは遺跡から脱出するため、互いに協力しながら最上層を目指す。
 作品コンセプトはオリジナルキャラだけで進めるリレー小説。事前に募集した執筆者だけで書き進めるかたちをとっております。
 故にタイトルは「異邦人たちの物語」
 異なる世界、異なる時代から集められた異邦人が紡ぐ物語の幕開けとなります。
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