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三月 秀嵐の日記っぽいもの

気が向いた時に、気のむくままに書きまくる乱文集。 あくまで日記っぽいもの。

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 なぜか買ってました。ちなみに、ブラックとホワイトは持っていないので、人のデータを引き継いでます。まずはクリアしていないプラチナを殿堂入りさせたいところですが。ホワイト2、最初に選んだポケモンはいつもどおり水系のミジュマルですね。

・トータル・イクリプス
 2話。名前を確認しようと思って公式サイトを開いたら、主人公だと思っていた少女の篁唯依がヒロインだった。プロローグだったのか。
 帝都防衛戦。BETAとの初戦闘ですが、なんというか、その、味方陣営が死亡フラグを立てては死んでいくという、一連の流れが連続していて、笑う場面じゃないのに、笑ってしまいそうなくらいに、死んでいきました。同時に篁が戦術機を下りてからが怖いのですが。BETAによって仲間が食われるのを見せつけられますし。見ているこっちも、戦術機、というのが何気に安心感があったみたいで。流石に恐怖感が強くまりました。
 にしても、戦術機のロボットらしい動きやBETAの生物めいている無感情の動きはなかなか良かったな。・・・BETAみたいに気色の悪い生物を何かで見た記憶があるけど、何で見たんだろ。

・TARI TARI
 2話。合唱大会に出場。
 意外とすんなり合唱部ができて、その話のうちに大会も終了。意外とトントン拍子に話が進んでいくのが意外でした。部活動は校長先生が顧問になることで、すんなりと。校長先生は坂井さんの名前を見つけたから許可したみたいですが。いったい、坂井さんにはどんな秘密があるのやら。
 そして、大会には顧問の校長先生が怪我で病院に運び込まれるわ、副顧問は産休中だわで、危うく参加できないところに。ギリギリで間に合うものの、間に合ったのは3人だけで、他の合唱部のメンバーは遅れるだの、波乱続きでした。とはいえ、最後まで恥をかこう、と言って、たった2人で舞台に立った宮本さんと沖田さんは格好良かった。その2人に付き合って、ピアノ伴奏をする坂井さんも。途中から他の合唱部も駆けつけて、なんだかんだで無事に終了。いや、いい流れでした。人に迷惑を掛けた以上、最後まで恥をかいてこい、というのが。しかも、言った本人もちゃんと付き合ってるのが良かった。
 ・・・というか、なぜか宮本さんを主人公と思い込んでいた。エンディングクレジットを見る限り、坂井さんが主人公なんですね。

・織田信奈の野望
 1話。原作は1巻だけ既読。
 原作1巻の話で、色々と話は飛ばされてましたけど、あまり気になりません。というか、信奈が可愛いのである程度許せてしまう。あと、キャラ名も、基本的には戦国武将を踏襲しているので覚えやすくてありがたい。なぜか、丹羽長秀をよく忘れるんですけどね、私。
 戦国時代を舞台にしたシミュレーションRPG好きの高校生が、戦国時代に紛れ込み、そこで木下藤吉郎に庇われ、後の秀吉の代わりに信長に仕える話。とはいえ、そこは戦国武将のほとんどが女性の世界。信長に至っては、信奈という名前の少女。この世界で、主人公の相良良晴がどう動くのか。というか、なんでいきなり戦国時代に来ているのにもかかわらず、良晴がすごく前向きなところは良いと思うんですよね。なんで、こんなに前向きでいられるのかが不思議。あと、ほとんどが女の子なのに、斎藤道三は渋い爺さんなのがかなり不思議。貫禄があって、格好良いからいいけどさ。

・カンピオーネ! ~まつろわぬ神々と神殺しの魔王~
 2話。なんか、話がいきなりふっとばされた気分。主人公の護堂のモノローグで、2,3話分の説明が終わった気がするんですよね。別のカンピオーネと戦ったとかなんとか。
 さらに、カンピオーネになった護堂を味方にしようと日本政府も動き出した模様。おかげで、護堂はエリカを疑うものの、エリカと勝負し、さらにエリカの本音を聞くことで和解。ありがちですが、わかりやすい展開です。しかも、その間も、護堂に近づく謎の存在。相変わらずの厨二病展開。素晴らしい。はっきり言って、わけがわからないけど、見ていて楽しい。これはもう見逃せませんわ。
 しかし、護堂があっさりとカンピオーネの力をある程度は使いこなせるようになっているな。いつの間に。問題は肉体の負荷なんでしょうけど。

・アクセル・ワールド
 14話。新OP&新ED解禁。嫌な奴登場。
 シルバー・クロウの正体がハルと知っていて、さらに加速が使える。その上、対戦を申し込めないバーストリンカー。ハルを罠に嵌めて、脅す。ブレインバーストのポイントを少し上納させる程度ですが、胸糞の悪いやつです。さらに、千百合も巻き込み、ブレインバーストの中では、自分を応援させるよう脅しますし。いやはや、下衆な相手です。新OPの映像を見る限り、タクが決着を付けるようですが、どうなることやら。頼みの黒雪姫も今はいませんからね。
 あーでも、こういう奴が叩きのめされると、爽快感があるので、ある意味、もっと嫌なやつでいてくれ、と思ってしまうんですよね。次の話が早く見たい。

・DOG DAYS´
 2話。異世界勇者VS異世界勇者。
 シンクとナナミの戦いもさることながら、エクレール&ユキカゼVSレオ閣下という戦闘もなかなか楽しめました。相変わらず、圧倒的な強さを誇るレオ閣下。2人がかりですら、ギリギリ対等に持ち込めそう、というところが。多分、ダルキアン卿じゃないと止められないんじゃないかな。同時に、ナナミもシンクと対等に戦うということで、その能力の高さを証明。このあたりの強さの描き方は上手いですね。
 さらにビスコッティ(勇者シンク)、ガレット(勇者ナナミ)、に次ぐ第3勢力パスティヤージュも戦に参戦。さらには、レベッカを勇者にしてました。勇者レベッカの爆誕である。完全に魔法少女でなぜか無駄に変身場面がエロイという。なんでさ。
 3人の勇者がフロニャルドで何をするのだろうか。今回は、今のところは底抜けに明るく過ごせそうなんですが。

・ソードアート・オンライン
 2話。一層のボス戦。文庫化はまだされてませんね。
 そんなわけで、初めて見る話でしたが、SAO内でのキリトの立ち位置が明確化した話でした。このボス戦の時に、仲間の結束を守るために、あえて汚名をかぶり、ベータテスターのチーター、略してビーターという蔑称を受け入れ、ソロの道を歩んだわけですね。いやはや、なかなか格好つける。そして、ボスドロップで手に入れた黒のロングコートを手に入れた結果、黒の剣士とあだ名されるようになったわけですか。
 それにしても、会議の場といい、ボス戦といい、エギルさん、格好良かったわ。あと、キリトとアスナの出会いって、一応はこの時になるんですかね。

・機動戦士ガンダムAGE
 40話。キオ編12話。
 アセム帰還。一応、キオやロマリーを始めとして、家族に無事な姿を見せていました。誰か1人はぶん殴った方が良いと思いますが、殴るどころか、誰も文句を言いませんでしたね。何かしら、文句を言われても仕方ないとは思うんですけどね。そして、フリットとの会話で、フリットとアセムの目指す道が分かたれ、さらにキオも戦術レベルで自分のできることを行おうとする。それは、戦場において、できるだけ人を殺さない手段。どれも正しく、どれも間違っているのですが、さて、誰が理想を成就できる。ヴェイガンの殲滅か、ヴェイガンとの冷戦状態の維持か、それとも。
 OP&EDが変わりましたが、最後はアセムだけでなくフリットの出撃するのかな。AGE-1に追加装甲ありましたし。これはこれで楽しみ。

・輪廻のラグランジェ season2
 2話。ランとムギナミの和解。
 ヴィラジュリオもランの兄もそれぞれの目的のために、まどかを利用しようとする節があり、利用させないために、ランとムギナミは無断でまどかに接触。互いの本音を聞こうとしないから、互いに本音を言おうとしないから、戦う羽目になったようですで。まどかとランとムギナミと直にあって、直にぶつかり合って、挙句、キスまでさせられ、やっと本音で言い合える。お互いの星の存続がかかっているようですが、この3人が力をあわせて何とかするのかな。手を貸す人は多そうですけど。3バカも含めて。そして、田所さんの心労が増える。頑張れ、中間管理職・・・。

・境界線上のホライゾンⅡ
 2話。ネシンバラの敗北か。
 ネシンバラの相手、シェイクスピアはネシンバラと何やら因縁のありそうな方。術勝負はネシンバラが敗北し、さらに王を、トーリを殺さないといけない呪いまでかけられてしまう。いきなり武蔵側はピンチに。大罪武装の使い手ホライゾンも1日に20時間は寝ないといけない状況に。かなり危なっかしい状況なのに、妙な安心感がありますけど。まあ、なんとかなるんじゃないかな、という。そんな雰囲気が漂ってくるんですよね。トーリの人徳でしょうか。
 トリスエスパニアに英国。2つの大罪武装。どちらも武蔵を利用しようとしている雰囲気がありますし。これは結構大変な戦いになる予感。点蔵が出会った傷有りが何者なのか気になるところですが。というか、OPだと点蔵が主人公っぽいのに、今のところ、出番がないよなあ。

・人類は衰退しました
 3話。妖精さんたちの、さぶかる。
 主人公の友人Yの登場。何の脈絡もなく、腐女子だということが明かされてましたね。いや、だって、これ、原作最新刊の話ですし。その前に、Yとの出会いやYが腐女子な理由とか、全部説明されているんですけどね。本当、この時系列シャッフルはアニメから入った人には優しくない気がして仕方がないんですけどね。良いのかな、これ、とアニメを見るたびに思います。
 さて、そんなYの仕事はヒトモニュメント。人類の歴史を残すためのプロジェクトですが、どうやって残すか、というレベルで話し合ってる時点で、人が滅ぶまで出来ない気がしますね。押し付けられた仕事でもやらなきゃならないので、Yは適当にやるつもりでしたが、たまたま見つけてしまった業務用コピー機と漫画のデータが入ったMOディスクで、すっかり踏み入れてはいけない禁断の扉に。同類誌を発行するわ、同類誌配布会ははじめるわ、完全に同人と同人誌即売会を復活させていて驚く。こう、間違った方向に情熱を燃やして、動き出すと大変なことになりますね。1つのことに夢中になって、そのために手段や方法を確立していくのは良いことなんですが。これはちょっと暴走気味。おかげで、妖精さんに目をつけられ、漫画の世界に入ってしまう。そんなところで次週。さて、どうするのやら。

 さて、明日は第2次Z破界篇の10周目をクリアしてしまいましょう。後少しですし。
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 気がつくと霧の中にいた。目に映るのは白と白と白と白。白一色、五里霧中という言葉の意味を実感している。なんで、私はここにいるのだろう、とアスフィーネは疑問に思う。
「タケちゃん」
 胸に輝くペンダント――建御雷――に話しかける。
「・・・」
「あのう、何か言ってくれないと独り言みたいで寂しいんだけど」
「・・・」
 されど、変わらず無言。
「うう、タケちゃんのいけず」
 それにしても、ここはどこなのだろうか。ここ最近の私は道に迷ってばかりの気がする。取り留めもない物思いにふけり、気を落ち着かせようとする。さて、状況は、と考えたところで、身に覚えが全くない。それ以前に、ここに来る前の記憶がいまいち思い出せない。これは困った。というわけで、前に進もう。どうしようもなくなったら前に進む。困った時はそうすると決めている。故にアスフィーネは、足を前に踏み出そうとして、
「ん?」
 人の気配を感じる。目を凝らして前を見れば白い視界の中に黒い影が見える。
「誰?」
 口に出した途端、猛烈な悪寒に襲われる。
「雷壁!」
 金色に輝く壁がアスフィーネの真正面にそびえ立つ。同時に迫り来る黒い槍を受け止める。
「この魔術・・・お父さんの・・・?」
 アスフィーネが戸惑う間も、槍の応酬は止まらない。鈍い音を響かせながら、一撃また一撃と金色の壁を撃ち貫かん激突する。
「くっ、このままじゃ持たない」
 一度、雷壁を解除して近づく? 無茶だけどやるしかない? どうする。アスフィーネのしばしの迷い。刹那の瞬間に過ぎない迷いながらも、今回は命取りとなる。
「死ね」
 男の声がする。アスフィーネにとっては、懐かしい声で。アスフィーネには決して向けられなかった言葉を紡ぐ。
 アスフィーネの真横。漆黒の影が白銀に輝く刃を振り下ろされる。
 後ろに下がって避けようとするものの、間に合うわけもなく、額を掠る。
「タケちゃん、ありがとう」
 真正面を見つめながら、呟く。とっさに建御雷が魔術障壁を展開したからこそ、掠り傷で済んだ。逆に言えば、建御雷の障壁を切り裂いていたわけでもあるが。
 さて、どうしようか。心のなかで呟く。目の前にいるのは、間違いなくアスフィーネの父親、アスレイン・ルクソール。今の私で勝てるのか、少し弱気になる。お父さんの戦い方を思い出す。相手の得意分野では勝てないから、相手の苦手分野に引きずり込んで倒す。ならば、私の得意分野で押し切る。
「タケちゃん、槍!」
 言うと同時に両手に重みを感じる。両の手で持つように槍が現れる。
「先手必勝! アスフィーネ流戦闘術『疾風刃雷』」
 そして、その槍でアスレインを貫かんと迷わず走りだす。だが、
「展開せよ。闇の障壁」
 アスレインの前に突如現れた闇色の壁の前に阻まれる。
「くっ」
 槍を引く。続けて、壁を打ち砕くために、上から振り下ろす。
「竜牙破砕!」
 振り下ろされた刃は壁を打ち砕き、壁の向こう側にいるアスレインをも襲う。しかし、
「抜刀――燕返し!」
 神速の居合抜きが槍の一撃を弾き返す。アスフィーネはその衝撃に逆らわずに後ろに下がって距離を取る。アスレインはその隙を逃さず、着地を狙って刺突を繰り出す。
「光速三段突き!」
 白き刃が一閃。その一閃のうちに三度の刺突を繰り出す。負けじとアスフィーネも、
「光速三段突き!」
 刀と槍、その違いはあれど、同じ技を繰り出す。一撃目はアスフィーネの刃がアスレインのそれを打ち返す。ニ撃目は打ち返される。そして、止めの三撃目は、お互いの刃の切っ先で受け止め合う。
「くっ」
 相手を見れば余裕の表情。対して、自分は必死で相手の刃に切っ先を合わせる。遊ばれている、そうアスフィーネは感じる。甘く見ないで。
 槍を引いて、空に跳ぶ。
「竜炎投槍!」
 跳躍の最高地点でアスレインに向かって槍を投げつける。
「展開せよ。闇の障壁、障壁、障壁」
アスフィーネの槍を防がんと、漆黒の壁が1枚2枚3枚と次々に展開されていく。されど、ソノ尽くを撃ち貫いてアスレインを襲う。されど、アスレインは余裕の表情。
「守れ、闇の盾よ」
 槍がアスレインを捉えたかと思いきや、直前に展開された盾の前に防がれ、弾かれる。弾かれた槍は雷光とともに消失。それを見ようともせず、アスレインは一振りの剣を取り出す。
「あれは、布都御魂剣! やばっ」
 今なお空中に留まっているアスフィーネはその剣を遠目で確認すると同時に焦りながらも、防御用の魔術を――。
「魔性を突き破れ! 布都御魂剣!」
 それよりもなお早く、布都御魂剣に集まった魔力を突きの要領で繰り出す。例えて言うなら横向きの竜巻。膨大な魔力の塊が暴風を伴いアスフィーネに襲いかかる。
「雷壁」
 アスフィーネの目の前に展開するは、雷を纏い金色に輝く壁。されど、アスレインの放った魔力の渦はアスフィーネが生み出した壁を、まるで最初から何もなかったかのように突き破り、打ち砕き、飲み干し、アスフィーネ自身を襲う。
「がぁっ」
 魔力の渦に巻き込まれ、意識が遠のきそうになるのを必死で耐える。地面にたたきつけられ、二度三度と転がる。
「――かはっ」
 全身が切り刻まれた。一つ一つは浅い裂傷なれど、それが全身となれば、流れだす血の量は少なくなく、アスフィーネの周りに血だまりが出来る。
「・・・」
 無言で建御雷が傷を癒す。傷は塞がるものの、失われた血までは再生出来ない。
「くっ・・・ありがとう、タケちゃん」
 立ち上がるものの、すぐにふらつき、倒れそうになる。
「ダメ。まだ、倒れるわけには」
 ゆっくりと、まるでアスフィーネの恐怖感を煽るようにアスレインが近づいてくるのがわかる。わかってしまう。これは獲物を、弱者を嬲るための余裕。なめられている。同時に、なめられている今ならば、隙をつける。
「タケちゃん」
 いつもよりも小さな声で。
「大太刀」
 顔の前の手に金色の刃を持つ大太刀が形成される。八双の構えをとる。
 たたっ斬る。あの人より疾く。
「チェストォォォォォオオオオオオ!!!」
 跳躍とも思える動きで一気に間合いを詰める。金色の刃は、迷いなく躊躇いなく振り下ろされ――。
 時が止まる。突然、時間の流れが遅くなる感覚。アスフィーネは胸に何かが触れられているのに気づく。目を向ければ、そこにあるのはアスレインの右手。その右手は間違いなくアスフィーネの薄い胸の上に添えられている。否、アスフィーネの心臓の上に添えられている。
 知っている。アスフィーネは思う。この技は知っている、と。
「――ち」
 一。
「――き」
 撃。
「――っ」
 必。
「――つ」
 殺。よく聞こえないが、アスフィーネには何を言っているのかは理解できる。次に何が来るのがわかっている。わかっているのに、体はただまっすぐにアスレインを斬ろうと動き、アスレインの文字通り必殺技を避けようと動いてくれない。
「――掌!」
 その音を聞き取る前に、アスフィーネの時間が元に戻る。
「――が・・・は・・・」
 心臓直撃の気を込めた掌底。アスフィーネの体は後方に吹き飛ばされ、意識を手放した。

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

「!!!」
 声にならない声を上げながら、アスフィーネは意識を取り戻す。目に映る空は相変わらず白一色。呼吸は乱れ、荒い息を繰り返す。
「心臓が止まってました」
 ペンダント、建御雷から、珍しく声が聞こえる。
「タケちゃん。しゃべるなんて、珍しい。って、心臓が止まっていた・・・?」
 そして、思い出す。自分が喰らった攻撃を。
「はい。蘇生措置をとりました」
「ありがとう、タケちゃん」
 震える声で答える。ダメだ、勝てない。アスフィーネには珍しく弱気な考え。逃げ道もない。どうすればいい。どうすればいい?
「そのまま死ねばいい」
 新たな声。気がつけば、アスフィーネに見下すようにアスレインが立っていた。ここまで近づいていたことに気づかない時点で、アスフィーネの動揺は見て取れる。
 アスレインはアスフィーネの顔の横に何の気なしに剣を突き刺す。その顔は嘲りの笑みを浮かべる。震えながらもアスフィーネはアスレインを睨み返す。嘲りには負けない、と。虚勢を張る。
「・・・」
「・・・」
 互いに無言。アスフィーネの蒼い瞳とアスレインの金色の瞳がぶつかり合う。
 無言? そこで、ふとアスフィーネが疑問を覚える。なにかおかしい。お父さんなら、こういう時に無言だったか、と。そんなわけはない、と。あの人は、どこまでも・・・。
 震える少女の何かが切り替わる。ニヤリ、と笑みを浮かべ、アスレインを蹴り飛ばす。
「なっ」
 その動きは想定外だったのか、アスレインは避けられず、防ぎながらも後ろに跳ぶ。
「ふふふ、勘違いしていた。絶対に勝てない、と心の中で思っていた。だから、追い詰められていた。それに、忘れていた」
「何を言っている」
「強敵相手には、ニヤリと笑って立ち向かうってことよ!」
 アスフィーネは叫ぶ。
「だいたい、あんたはお父さんじゃない。私のお父さんなら、無言で私を見下すものか」
「だから、どうした。だいたい、お前は、お前の父親を斬れるのか」
「斬れるに決まってるじゃない」
 こいつは何を言っているのだろう、というふうにアスフィーネは断言する。
「仏に逢えば仏を殺せ。祖に逢えば祖を殺せ、って教わってるのよ。そのお父さんからね。親に逢ったら、親を殺すに決まってるじゃない。私の前に立ちふさがった以上、たとえお父さんでもたたっ斬る。むしろ、ニヤリと笑って大喜びでぶった斬る!」
 雷を纏う刀を握り、アスフィーネは駆け出す。
「だいたい、お父さんを振りをするには、あんたには色々と足りないものがあるのよ!」
「足りないもの? 本人相手によく言えたものだ」
「まだ嘘を吐くか。口を開けないように徹底的に叩きのめしてあげる。雷神降臨――オーヴァ・ドライブ――」
 建御雷から金色に輝く魔力が溢れ出る。それはアスフィーネの体を包み、全身に魔力を滾らせ、雷光を纏い、身体能力を向上させる。
「こちらの話は聞かないというわけか。ならば、教えてやる。我が力をな。幻影――」
「遅すぎる! 幻影乱舞」
 互いに放つは分身技。アスレインの分身に対して、その尽くをアスフィーネの分身が、その手に持つ剣で刀で槍で銃で短剣で魔術で、打ち消す。
「豪華絢爛たる乱れ技、見せてあげる」
 攻撃の手を緩めず、さらに攻勢に出る。上段からの袈裟斬り――一の太刀 吹雪――、流れるように下段からの逆袈裟斬り――二の太刀 繊月――、さらに抜きざまに薙ぎ払い――三の太刀 桜花――。
「これぞ、アスフィーネ流戦闘術『絢乱雪月花』」
 油断せず、アスフィーネはアスレインの姿をしたものを見つめる。上半身は血まみれで、致死量としか思えない血を流し、足元には血だまりを作る。それでも、なお、平然と立っている、アスレインに似た何かを見つめる。
 そういうところは、お父さんっぽいんだけどね、とアスフィーネはひとりごちる。
「それだけの傷を負って、人間だって言うのは無理があるんじゃない」
「くくく、バレちまったら仕方ない。だが、人間ごときが俺に敵うと思うなよ」
「ここまで追い詰められて何を言ってるのかしら。あんたはここで私に倒されるのよ」
 そう言って、懐から白い布を取り出し、髪を纏める。
「私の名前はアスフィーネ・ルクソール。人は私のことを雷神と呼ぶわ」
 かなり恥ずかしい。こういう名乗りは初めてだからなおさら。されど、アスレインは無反応。このセリフに対して、名乗りを上げないなんて。やっぱり偽者。これで、迷いなく躊躇いなく揺るぎない一撃を入れられる。アスフィーネは口元に不敵な笑みを浮かべ、最後の言葉を放つ。
「雷神解放――オーヴァ・ドライブ改――」
 同時にアスフィーネは右手を真横に伸ばす。その手には剣が生まれ、超大型剣へと変貌する。
「雷封結界」
 アスフィーネの声とともに雷がアスレインを囲み、その肉体を捉える。
「お父さんにあって、あんたに足りないもの。それは――」
 超大型剣――複製剣天之叢雲・神式――を手にアスフィーネは天へと跳躍する。
「強さも優しさも冷たさも甘さも、色々と足りないものがあるけど、何よりも!」
 もっと速く。雷をよりも疾く。落下速度を乗せ、アスフィーネ・ルクソールの乾坤一擲の刃がアスレインを襲う。
「くっ、展開せよ、闇の障壁。障壁障壁障壁・・・」
 アスフィーネの一撃を防ごうと幾つもの闇色の壁がアスフィーネの行く手を阻むが、勢いを殺すことも出来ず切り伏せられていく。
「厨二病成分が足りない!」
 アスレインの姿をした何かは、抵抗も回避も敵わず、あっさりと頭から斬断される。
 斬った勢いそのままに、前へと跳ぶ。横に一回転させながら、超大型剣を通常の直剣に戻し、地面に突き立てる。
「私と建御雷――わたしたちに――、断てぬもの無し」
 全く、お父さんの振りをするなら、これくらいのどこかで聞いたようなセリフの1つでも言ってもらわないと。せっかく、見本を見せたのに。少し恥ずかしいんだから。と、アスフィーネは心の中で呟き、空を見上げる。
 霧が晴れた空は、どこまでも青く蒼く碧かった。それを見ながら、こんどこそ、アスフィーネは意識を失う。

「ん?」
 目を開けば、そこには心配そうに覗きこむ仲間の顔が見える。えーと、私は何をしていたのかな、と瞬きを繰り返しながら、アスフィーネは思い出そうとする。だが、それよりも前に、皆が喜びの声を上げたり、抱きついてきたり、慌ただしく動いたりし、それは中断される。
「えーと、どういうことなのかな」
 布団から、身を起こし、尋ねる。周りの説明によれば、何人かが夢魔に襲われ、ずっと眠っていたらしい。他の人は早々と目を覚ますものの、アスフィーネだけは三日三晩も眠り続けており、このまま衰弱死をすると思われていたらしい。
「・・・心臓も一瞬ながら止まっていたんだ」
 説明を受けたおかげで、さっきまでの戦い、痛みを感じるほどの現に限りなく近しい夢を思い出す。あのまま、殺されていたら死んでいたんだろうなあ、と述懐する。
 と、そこで、ぐうとアスフィーネのお腹が鳴る。周りは、一瞬呆気にとられ、次の瞬間笑い出す。
「お腹・・・空いた」
 考えてみれば当たり前である。三日三晩寝ていたということは、三日三晩食事を取っていないことと同義。腹は空いていて当たり前である。
 私、食いしん坊キャラじゃなかいんだけど、漂ってくる料理の美味しそうな匂いを嗅ぎながら、アスフィーネはそのまま突っ伏した。